コラム

2014.10.06

第10回 クマ蝉

JPN株式会社 日沖清弘

今年の夏は猛暑となったり、集中豪雨となったり天候不順の中で厳しい残暑というものもなく、いつしか秋が感じられる季節となった。

9月初旬には例年、つくつくぼうしが鳴いて夏の終わりを告げるのだが今年はこれを聞かなかった。やはり天候不順の影響であろうか。

 今年もマンション5階の我が家には油蝉が来ていた。バルコニーの鉢に植えた樫の木に止まっていた。ある時、この鉢を掘り起こしたら昆虫の幼虫が出て来たことがあった。この幼虫は油蝉だったのかと思ったりした。

私の田舎は三重県である。幼少の頃、裏山の神社に行くと蝉の鳴き声で一杯だった。夏の入りにはニイニイ蝉、しばらくして油蝉、本格的な夏になると高い木の上でクマ蝉が鳴く、つくつくぼうしが鳴くと夏も終わりだ。
東京に私が出て来たのは1972年であるが、この頃の夏に東京の蝉の鳴き声を聞いた。油蝉に混じってミンミンと鳴いている。田舎で聞いたクマ蝉のシャワシャワという鳴き声は無かった。小説に出てくるミンミン蝉というものの鳴き声を始めて知った。東京という所は蝉の鳴き声も違うのだと思った。今大田区の矢口という所に住んでいるが20年ほど前だったかのある時、クマ蝉のシャワシャワという鳴き声を聞いた。ミンミン蝉の声に混じって聞こえてきた。
これがこの数年前にクマ蝉が盛んに鳴き、ミンミン蝉と競って鳴いていた。クマ蝉の侵略である。
クマ蝉が増えたのは温暖化が関係しているようだ。全国セミ調査という調査機関によると2010年の生息地の北限は福島市であるということだった。私が東京に出て来た42年前にはクマ蝉の声を聞かなかったのであるから20~30年の間で200km北限地が上昇したのである。
ところでクマ蝉の北限地があるならミンミン蝉の南限地もあるのではと調べてみた。すると全国に生息しており南限地というものはないらしい。暑すぎてもダメ、寒すぎてもダメ、適温と適湿度の高原に生息するようだ。
セミが地上に這い上がって成虫となっての命が7日程度、これに比べ地中に幼虫で過ごす期間が7年ほど。今年蝉の声が少なかったのは、地上に這い上がって来ても鳴かなかったのか、それとも幼虫のまま地中で来年まで過ごすのか、来年もまた冷夏であったらこの幼虫はどうなるのだろう、地中で一生を終えてしまうのだろうか、調べてみたが判らなかった。
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